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症例対照研究(ケースコントロール研究)とは?コホート研究との違いを分かりやすく解説!

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観察研究の代表的な研究デザインには、コホート研究症例対照研究(ケースコントロール研究)があります。

観察研究では、研究者が治療や曝露などを意図的に割り付けるのではなく、データベースやカルテ、アンケートなどから得られた情報をもとに、実際に起こった曝露やアウトカムを観察し、その関連を調べます。

コホート研究と症例対照研究はどちらも「ある曝露とアウトカムに関連があるか」を調べるために広く用いられていますが、研究対象者をどのように選ぶか、どの時点から情報を集めるかという点で大きく異なります。

前向きコホート研究とは?」では、PECOを使って前向きコホート研究のデザインを解説しました。今回はその対となる症例対照研究について、具体例を交えながら、コホート研究との違いや、研究を行う際に注意すべきポイントを解説します!

症例対照研究とは?

症例対照研究とは、あるアウトカムが発生した集団(症例群)と発生していない集団(対照群)を選び、それぞれについて過去の曝露(要因)の有無を調べて比較する研究デザインです。

例えば、肺がんと喫煙の関連を調べる場合、まず肺がんを発症した人を症例群、肺がんを発症していない人を対照群として選びます。そのうえで、それぞれの人について過去の喫煙歴を調べ、症例群と対照群で喫煙者の割合を比較します。

このように、症例対照研究ではまずアウトカムの有無を基準に研究対象者を選び、そこから過去にさかのぼって曝露の情報を調べる点が大きな特徴です。

一方、コホート研究では、基本的に曝露の有無を基準に対象者を選び、その後のアウトカムの発生を追跡します。つまり、両者の大きな違いは、研究対象者を「曝露」で選ぶか「アウトカム」で選ぶかという点にあります。

コホート研究との違い

症例対照研究とコホート研究は、どちらも曝露とアウトカムの関連を調べる観察研究ですが、研究対象者を何を基準に選ぶかが大きく異なります。

両者の違いを整理すると、以下のようになります。

コホート研究症例対照研究
対象の決め方曝露の有無で群を分けるアウトカムの有無で群を分ける
情報を集める方向曝露 → アウトカムアウトカム → 過去の曝露
適した研究まれな曝露や複数のアウトカムを調べたい場合などまれなアウトカム、特に希少疾患など
主な関連指標リスク比・リスク差などオッズ比

例えば、喫煙と肺がんの関連を調べる場合、
コホート研究:喫煙者と非喫煙者を集めて、その後に肺がんを発症するかを追跡
症例対照研究:肺がん患者と肺がんではない人を集め、それぞれの過去の喫煙歴を調べる

このように、コホート研究は「曝露からアウトカムへ」、症例対照研究は「アウトカムから過去の曝露へ」と情報をたどると考えると、両者の違いを理解しやすくなります。

なお、「前向き研究」「後ろ向き研究」という言葉は、コホート研究・症例対照研究という研究デザインの区分とは必ずしも一致しません。

例えば、コホート研究でも、過去の診療録などを利用して曝露やアウトカムの情報を収集する後ろ向きコホート研究があります。そのため、「前向き・後ろ向き」は研究デザインそのものではなく、主に研究者がどの時点から情報を収集するかという観点で理解するとよいでしょう。

症例対照研究の具体例

症例対照研究の具体例として、喫煙と肺がんの関連を調べる研究を考えてみましょう。

例えば、肺がんと診断された人を「症例群」、肺がんではない人を「対照群」として研究対象者を集めます。そのうえで、それぞれについて過去の喫煙歴を調べ、症例群と対照群で喫煙者の割合を比較します。

研究の流れは、以下のようになります。

  1. 症例群と対照群を選ぶ
    • 症例群:肺がんと診断された100人
    • 対照群:肺がんではない100人
  2. 過去の曝露を調べる
    • それぞれの人について、過去に喫煙していたかを調べる
  3. 両群で喫煙歴を比較する

例えば、次のような結果になったとします。

喫煙あり喫煙なし合計
肺がん(症例群)80人20人100人
肺がんなし(対照群)40人60人100人

この場合、喫煙者の割合は、症例群では80%、対照群では40%です。

さらに、喫煙のオッズを計算すると、

  • 症例群の喫煙オッズ:80 ÷ 20 = 4
  • 対照群の喫煙オッズ:40 ÷ 60 ≒ 0.67

となります。

したがって、オッズ比(OR)は、

4 ÷ 0.67 ≒ 6.0

となります。

つまり、この例では肺がん患者における喫煙のオッズは、肺がんではない人の約6倍でした。

なお、症例対照研究では、研究者があらかじめ症例群と対照群の人数を決めて対象者を集めるため、研究対象者における肺がんの割合から、肺がんのリスクを直接計算することはできません

このように、症例対照研究では、まずアウトカムの有無によって対象者を選び、その後、過去の曝露を調べて両群を比較するという特徴があります。通常、この関連を評価するためにオッズ比(odds ratio:OR)が用いられます。

なぜオッズ比が使われるのか

症例対照研究では、あらかじめ症例群と対照群の人数を研究者が決めてしまうため、対象集団における疾患のリスクや罹患率を直接推定できません。そのため、コホート研究で用いられるリスク比を直接計算することができず、代わりにオッズ比が用いられます。

先ほどの例では「肺がん患者100人、肺がんではない人100人だから、肺がんのリスクは50%」と考えることはできません。なぜなら、症例対照研究では、研究者があらかじめ症例群と対照群の人数を決めて対象者を集めるからです。

例えば、実際の母集団では肺がんの人が1%しかいなかったとしても、研究では肺がん患者100人と肺がんではない人100人を集めることができます。この場合、研究対象者に占める肺がん患者の割合は50%になりますが、これは母集団における肺がんの割合を反映していません。

そのため、症例対照研究では研究対象者におけるアウトカムの割合から肺がんのリスクを直接計算することはできません

一方、症例対照研究では、症例群と対照群それぞれについて過去の曝露のオッズを計算し、その比をとることでオッズ比を求めることができます

このように、症例対照研究では、まずアウトカムの有無によって対象者を選び、その後、過去の曝露を調べて両群を比較するという特徴があります。そのため、通常はリスクではなく、オッズ比(odds ratio:OR)を用いて曝露とアウトカムの関連を評価します

オッズ比の計算方法については「Excelでオッズ比とその95%信頼区間を計算する方法」で解説しています。また、オッズ比・リスク比・ハザード比の違いについては「オッズ比・リスク比・ハザード比の違いを一挙に解説」もあわせてご覧ください。

症例対照研究のメリット・デメリット

症例対照研究には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

  • 希少疾患でも研究しやすい
    疾患の発生を待つ必要がないため、症例群を集めることができれば比較的少ない対象者で研究できます。
  • 短期間・低コストで実施しやすい
    前向きに対象者を追跡する必要がないため、コホート研究と比べて、研究期間や費用を抑えられる場合があります。
  • 複数の曝露要因を検討できる
    1つの疾患について、喫煙、飲酒、生活習慣など複数の曝露要因と関連があるかを調べることができます。

デメリット

  • バイアスの影響を受けやすい
    過去の曝露を思い出して回答してもらう場合には、症例群と対照群で記憶の正確さが異なる想起バイアスが生じる可能性があります。
  • 対照群の選び方が重要である
    対照群が適切に選ばれていないと、症例群との比較が適切に行えず、研究結果に偏りが生じる可能性があります。
  • リスクや罹患率を直接推定できない
    研究者が症例群と対照群の人数をあらかじめ決めて対象者を集めるため、研究対象者におけるアウトカムの割合からリスクを直接計算することはできません。そのため、通常はオッズ比を用いて曝露とアウトカムの関連を評価します
  • 曝露とアウトカムの時間的な順序を確認しにくい場合がある
    過去の曝露情報を後から収集する場合、曝露がアウトカムより先に起こったことを正確に確認することが難しい場合があります。

症例対照研究で注意すべきバイアス

症例対照研究では、特に以下のようなバイアスや交絡に注意が必要です。

  • 想起バイアス(recall bias):過去の曝露について質問した際、症例群と対照群で記憶の正確さや報告の仕方が異なることで、曝露情報に偏りが生じる
  • 選択バイアス:症例群・対照群をどのように選ぶかによって、研究対象者が母集団の特徴を適切に反映しなくなり、結果に偏りが生じる
  • 交絡の影響:曝露とアウトカムの両方に関連する交絡因子によって、曝露とアウトカムの関連が見かけ上強くなったり、弱くなったりすることがある

これらへの対策として、可能な限り診療録などの客観的な記録から曝露情報を収集することや、適切な方法で交絡因子を調整することが挙げられます。

まとめ

今回は症例対照研究(ケースコントロール研究)について解説しました!

  • 症例対照研究は、アウトカムの有無で群を分け、過去の曝露をさかのぼって比較する研究デザイン
  • コホート研究との最大の違いは、対象を曝露で分けるか、アウトカムで分けるかという点
  • 対象集団全体のリスクを直接推定できないため、リスク比ではなくオッズ比を用いて曝露とアウトカムの関連を評価する
  • 希少疾患を少人数・短期間で研究できる一方、想起バイアス・選択バイアスや交絡の影響に注意が必要

症例対照研究は、症例数の少ない希少疾患などの研究で有力な選択肢となる研究デザインです。コホート研究との違いや症例対照研究の特徴を理解したうえで、適切に研究デザインを選択しましょう!

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