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オッズ比・リスク比・ハザード比の違いを解説!使い分けが一目でわかる比較表も

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医学研究では治療効果や疾患との関連の強さを示す指標として、オッズ比・リスク比・ハザード比という3つの用語が登場します。

いずれも「1」が「2群で差がない」ことを表し、1より大きいか小さいかによって効果の方向を判断するという共通点があります。そのため、どれも「2群の違いを表す数字」として捉えてしまい、混同されやすい指標です。

しかし、オッズ比・リスク比・ハザード比は、そもそも何を比較しているのかが異なります

今回は、オッズ比・リスク比・ハザード比について、それぞれ何を比較している指標なのか、どのように計算されるのか、どのような研究で使われるのかを整理し、比較表を使いながら一挙に解説します!

オッズ比とは?

オッズ比とは?

オッズ比(Odds Ratio; OR)は、2群間の「オッズ」の比です。

オッズとは、ある事象が起こる確率と、起こらない確率の比を表す指標です。事象が起こる確率をpとすると、オッズは以下のように計算されます。

オッズ = p ÷ (1−p)

例えば、ある事象が起こる確率が20%の場合、起こらない確率は80%なので、オッズは0.2 ÷ 0.8 = 0.25となります。

オッズ比は、群1のオッズを群2のオッズで割ることで求められます。

OR = 群1のオッズ ÷ 群2のオッズ

オッズ比が1の場合は2群のオッズが同じことを意味し、1より大きければ群1の方が事象が起こりやすく、1より小さければ群1の方が事象が起こりにくいと解釈します。

オッズ比の具体的な計算方法については、「Excelでオッズ比とその95%信頼区間を計算する方法」で、具体的な数値例とともに解説しています。

オッズ比は、後述する症例対照研究でよく用いられます。症例対照研究では、最初に「疾患がある人」と「疾患がない人」を選んで過去の曝露などを比較するため、対象集団全体における疾患の発生確率(リスク)を直接求めることができません。そのため、リスクそのものではなく、オッズを比較するオッズ比が用いられます。

リスク比とは?

リスク比とは?

リスク比(Risk Ratio; RR、相対危険度)は、2群間の「リスク(事象が起こる確率)」そのものの比です。

事象が起こる確率をpとすると、リスク比は以下のように計算されます。

RR = 群1のリスク(p₁) ÷ 群2のリスク(p₂)

例えば、群1で事象が起こる確率が10%、群2で20%だった場合、リスク比は10% ÷ 20% = 0.5となります。これは、群1のリスクが群2の半分であることを意味します。

オッズが「起こる確率と起こらない確率の比」であったのに対して、リスク比は確率そのものを直接比較する指標です。そのため、オッズ比よりも直感的に解釈しやすい指標です。

リスク比が1の場合は2群のリスクが同じことを意味します。1より大きければ群1の方が事象が起こりやすく、1より小さければ群1の方が事象が起こりにくいと解釈します。

ただし、リスク比を計算するには、各群における事象の発生確率(リスク)を推定できる必要があります。そのため、研究デザインによってはリスク比を直接計算できない場合があります。

ハザード比とは?

ハザード比とは?

ハザード比(Hazard Ratio; HR)は、生存時間解析で使われる指標で、2群間の「ハザード」の比です。

ハザードとは、ある時点までイベントが起こっていない人について、その直後にイベントが起こる瞬間的な発生率を表します。

ハザードやハザード比の詳しい考え方については「比例ハザード性とは?」で解説していますので、あわせてご覧ください。

リスク比が「ある一定期間の中でイベントが起こる確率」を2群で比較するのに対して、ハザード比は時間の経過に伴って変化するイベントの起こりやすさを比較できるという特徴があります。

例えば、治療開始から5年間の死亡リスクを比較する場合、リスク比では5年間の死亡確率を2群で比較します。一方、ハザード比では、追跡期間中の各時点における死亡の起こりやすさを比較します。

そのため、ハザード比は、イベントが起こるまでの時間を考慮する必要がある生存時間解析でよく用いられます。また、生存時間解析では、研究期間が終了した時点でイベントが起こっていない人や、途中で追跡できなくなった人などの打ち切り(censoring)を扱うことができる点も特徴です。

ハザード比が1の場合は2群のハザードが同じことを意味します。1より小さければ群1の方がその時点でイベントが起こりにくく、1より大きければ群1の方がイベントが起こりやすいと解釈します。

3指標の比較表

3指標の比較表

オッズ比・リスク比・ハザード比の違いを表にまとめると、以下のようになります。

オッズ比(OR)リスク比(RR)ハザード比(HR)
比較する対象2群のオッズの比2群のリスク(確率)の比2群のハザード(速度)の比
時間の情報考慮しない考慮しない考慮する
主に使われる研究デザイン/エンドポイント症例対照研究コホート研究、ランダム化比較試験生存時間
主な解析手法ロジスティック回帰リスク比回帰Cox比例ハザードモデル

オッズ比・リスク比・ハザード比は、いずれも2群間の違いを「比」で表す指標ですが、何を比較しているのかが異なります

また、どの指標を用いるかは、研究デザインだけで決まるわけではありません。解析方法やアウトカムの性質、時間の情報や打ち切りを考慮する必要があるかどうかなどに応じて、適切な指標が選択されます。

そのため、医学論文を読むときは、「OR・RR・HRのどれが使われているか」だけを見るのではなく、その研究がどのようなデザインで行われ、何を比較し、どのような方法で推定しているのかをあわせて確認することが重要です。

オッズ比とリスク比の関係

オッズ比とリスク比の関係

オッズ比とリスク比は、アウトカムの発生割合が低い場合には近似的に等しくなることが知られています。

これは、事象の発生確率をpとすると、オッズ(p ÷ (1−p))の分母(1−p)が1に近づくため、オッズは確率pそのものに近づきます。その結果、オッズ比もリスク比に近い値になります。

一方で、アウトカムの発生割合が高くなるほど、オッズ比とリスク比の差は大きくなります。 特に、事象が起こる確率が高い場合にORをRRのように解釈すると、効果の大きさを実際より大きく見積もってしまうことがあります。

例えば、治療によってアウトカムのリスクが「20%から10%に低下した」とします。このときリスク比は10% ÷ 20% = 0.50ですが、オッズ比は(0.10 ÷ 0.90) ÷ (0.20 ÷ 0.80) ≈ 0.44となり、両者には差が生じます。

同じ「20%→10%」というリスク低下でも、RR(リスク比)とOR(オッズ比)では数値が一致しない

このように、ORとRRはどちらも「1」を基準として解釈しますが、同じ意味の指標ではありません。 医学論文でORが報告されている場合には、それをそのまま「リスクが何倍になった」と解釈してよいのかを確認することが重要です。

まとめ

まとめ

今回は、オッズ比・リスク比・ハザード比の違いについて解説しました。

  • オッズ比(OR)は2群のオッズの比、リスク比(RR)は2群のリスク(確率)の比
  • ハザード比(HR)は、時間の経過を考慮して2群のハザードを比較する指標
  • ORとRRは、アウトカムの発生割合が低い場合には近い値になりますが、発生割合が高くなるほど両者の差は大きくなる
  • 症例対照研究ではOR、コホート研究やランダム化比較試験ではRR、生存時間解析ではHRが用いられることが多い。ただし、研究デザインだけで使用する指標が決まるわけではない

論文を読むときは、どの指標が使われているかだけでなく、その指標が何を比較しているのか、どのような研究デザイン・解析方法で推定されているのかを意識して読んでみましょう。

特に、OR・RR・HRがすべて「1」を基準とする指標だからといって、「OR 0.70」「RR 0.70」「HR 0.70」がまったく同じ意味を持つわけではありません。 それぞれの指標が表しているものを理解することが、医学論文の結果を正しく解釈しましょう!

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