観察研究(コホート研究や症例対照研究)の論文を投稿すると、レビュアーから「重要な交絡因子が調整されていないのではないか」という指摘を受けることがよくあります。
この記事では、そのような指摘がされた時の考え方と対応方法を解説します。コピペOKなレビュアーへの回答も載せていますので参考にしてください!
対応フロー

ケース1: 指摘された交絡因子のデータが既にある場合
多変量回帰モデルに追加して再解析し、結果への影響を報告します。これにより効果の大きさや方向(正→負、負→正)が変わることがありますので、結果の変化は必ず確認しましょう!
ただし、説明変数の数を増やしすぎるとモデルが不安定になるため、多変量解析の説明変数の個数の目安も確認して、重要な因子に絞った解析を心がけましょう。
そのままコピペOK!返信例文(英語)
> As suggested by the reviewer, we included [confounder] as an additional covariate in the multivariable model and reanalyzed the data. The effect estimate for [outcome] changed from X.XX to Y.YY, which did not alter the overall conclusions (Table X).
和訳
> ご指摘の通り、〇〇は重要な交絡因子であるため、追加してモデルに含め再解析いたしました。結果、△△(効果推定値)はX.XXからY.YYへと変化しましたが、結論に影響を与えるものではありませんでした(Table X)。
ケース2: データが存在しない、または測定されていない場合
追加解析ができないため、「未測定の交絡因子である〇〇による残余交絡の可能性」をLimitationsに明記して対応します。
可能であれば、過去の研究で報告されている交絡因子と曝露・アウトカムとの関連を確認し、本研究の結果にどの程度影響を及ぼす可能性があるかを定性的に議論します。
ただし、過去の研究の結果をそのまま本研究に適用することはできないため、影響の大きさについて断定しないことが重要です。
そのままコピペOK!返信例文(英語)
> We thank the reviewer for raising this point. Data on [confounder] were not available in our database, and we were therefore unable to perform an additional adjusted analysis. We have added this as a limitation, noting that [confounder] may have influenced the observed association, in the Discussion (Line XX). We have also discussed the potential impact of [confounder] on our findings based on previous studies.
和訳
> ご指摘ありがとうございます。〇〇については本データベースに含まれておらず、追加の調整解析を行うことができませんでした。この点について、〇〇が観察された関連に影響を及ぼしている可能性をLimitationsとしてDiscussionに追記いたしました(Line XX)。また、過去の研究結果を踏まえ、〇〇が本研究の結果に及ぼす可能性のある影響についても考察しました。
ケース3: 交絡因子が多数あり、多変量回帰では調整しきれない場合
傾向スコア(プロペンシティスコア)を用いた調整方法など、解析方針の変更を検討します。
例えば、傾向スコアマッチング、傾向スコアによる重み付け(IPTWなど)、傾向スコアによる層別化などの方法が考えられます。研究デザインやデータの特性を踏まえて、適切な方法を選択します。
そのままコピペOK!返信例文(英語)
> In response to the reviewer’s comment, we reconsidered our analytic approach and changed the analysis from multivariable regression to a propensity score-based method. Specifically, we performed propensity score matching to account for potential confounding. The balance of baseline characteristics after matching is shown in Table X, and we have reanalyzed the outcome accordingly.
和訳
> ご指摘を踏まえ、解析方針を再検討し、多変量回帰モデルから傾向スコアを用いた解析方法に変更いたしました。具体的には、潜在的な交絡の影響を調整するため、傾向スコアマッチングを実施しました。マッチング後の患者背景のバランスをTable Xに示すとともに、結果を再解析いたしました。
まとめ

今回は交絡因子の調整不足を指摘されたときの対応方法について解説しました。
- データがある場合:追加調整を行って再解析し、結果に変化があったかどうかを報告する
- データがない場合:残差交絡の可能性として、Limitationsに正直に明記する
- 交絡因子が多い場合:傾向スコアを用いた解析など、別の解析方法への切り替えも選択肢になる
レビュアーからの指摘に対して重要なのは、無理に「反論」することではありません。
「どこまで交絡を調整できたのか」「何が調整できなかったのか」を明確にし、研究の限界を正直に示すことが、レビュアーからの信頼を得ることにつながります。
こうした指摘を前向きに受け止め、研究の質を高めながら、よりよい研究を世に公開していきましょう!



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