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Cohenのκ係数とは?カテゴリカルデータの一致度を評価する方法を解説!

2人の評価者による診断結果や2つの検査方法による判定結果が、どの程度一致しているかを評価したい場面は臨床研究ではよくあります。

連続値の一致度を評価する場合には「Bland-Altmanプロット」などが用いられます。一方、「陽性/陰性」のようなカテゴリカルデータの一致度を評価する際には、Cohenのκ(カッパ)係数がよく用いられます。

今回は、Cohenのκ係数とは何か、その考え方や計算方法、さらにκ係数の値をどのように解釈すればよいのかを、具体例を用いてわかりやすく解説します!

Cohenのκ係数とは?

Cohenのκ係数とは?

Cohenのκ係数は、2人の評価者(または2つの検査方法)による判定結果が、偶然による一致を考慮したうえで、どの程度一致しているかを示す指標です。

単純な「一致率(例: 2人とも陽性/陰性と判定した率)」では、偶然に一致したケースも含まれてしまいます。Cohenのκ係数では、実際の一致率と、偶然に一致すると考えられる割合を比較することで、偶然による一致を考慮した一致度を評価します。

κ係数は−1から1の範囲をとり、一般的に1に近いほど一致度が高いことを示します。
一方、0は偶然による一致と同程度、負の値は偶然による一致よりも一致度が低いことを示します。

つまり、Cohenのκ係数は、「単にどれくらい一致したか」ではなく、「偶然の一致を除いて、どれくらい一致しているか」を評価するための指標と考えると分かりやすいでしょう。

単純な一致率との違い

単純な一致率との違い

「2人の評価者の判定が一致した割合」を単純に計算する方法を単純一致率といいます。

単純一致率は計算が簡単で分かりやすい一方、偶然による一致を考慮していないという問題があります。

たとえば、ある疾患の有病率が非常に高い集団では、ほとんどの人が「陽性」と判定されます。そのため、評価者が十分に正確な判定をしていなくても、結果的に2人の判定が一致する割合が高くなることがあります。

Cohenのκ係数は、このような偶然による一致の影響を考慮して一致度を評価するため、単純一致率だけでは分からない、評価者間の実質的な一致度を評価することができます。

κ係数の計算方法

κ係数の計算方法

Cohenのκ係数は、以下の式で計算されます。

$\kappa=\dfrac{P_o-P_e}{1-P_e}$

$P_o$は実際に観察された一致率(単純一致率)、$P_e$は偶然に一致すると期待される一致率です。
つまり、κ係数は、実際に観察された一致率から偶然による一致率を差し引いたうえで、偶然による一致を除いた実質的な一致度を評価しています。

具体的な数値例で計算してみましょう。100人の患者について、評価者Aと評価者Bがそれぞれ「陽性/陰性」を判定した結果が以下のような2×2表になったとします。

区分評価者B: 陽性評価者B: 陰性合計
評価者A: 陽性451560
評価者A: 陰性53540
合計5050100

STEP1: 単純一致率($P_o$)を計算する

まず、2人の評価が一致した人数(陽性同士・陰性同士)の割合を計算します。

今回の例では、評価者AとBの判定が一致したのは、陽性同士の45人と陰性同士の35人です。

$P_o=\dfrac{45+35}{100}=0.80$

つまり、2人の評価者の判定は80%で一致していたことになります。

STEP2: 偶然の一致率($P_e$)を計算する

次に、偶然に一致すると期待される一致率($P_e$)を計算します。

評価者Aと評価者Bが、それぞれどのくらいの割合で「陽性」「陰性」と判定しているかを確認し、その割合から偶然一致する確率を求めます。

今回の例では、評価者Aは「陽性」と判定した割合が60%、評価者Bは50%です。そのため、2人とも偶然「陽性」と判定する割合は、

$0.60\times0.50=0.30$

となります。

同様に、「陰性」と判定する割合は評価者Aが40%、評価者Bが50%なので、2人とも偶然「陰性」と判定する割合は、

$0.40\times0.50=0.20$

となります。

したがって、偶然の一致率$P_e$は、

$P_e=\dfrac{60\times50}{100\times100}+\dfrac{40\times50}{100\times100}=0.30+0.20=0.50$

となります。

つまり、2人が偶然に同じ判定をする割合は50%と期待されることになります。

STEP3: κ係数を計算する

STEP1・STEP2の結果を式に代入します。

$\kappa=\dfrac{0.80-0.50}{1-0.50}=\dfrac{0.30}{0.50}=0.60$

したがって、Cohenのκ係数は0.60となります。

単純一致率は80%と高く見えますが、偶然による一致率が50%あることを考慮すると、κ係数は0.60となります。

κ係数の目安

κ係数の目安

κ係数の値をどう解釈するかについては、いくつかの目安が提案されています。代表的なものとして、Landis & Kochによる基準では、おおよそ以下のように分類されます。

κ係数の目安一致度の解釈
0未満一致度なし
0〜0.20わずかな一致
0.21〜0.40まずまずの一致
0.41〜0.60中程度の一致
0.61〜0.80かなりの一致
0.81〜1.00ほぼ完全な一致

ただし、これらの区分はあくまで目安です。κ係数の解釈基準は、提唱者や研究分野によって異なる場合があり、境界値を一律に適用することには注意が必要です。

そのため、論文ではκ係数の値を単に「良好」「中等度」などと分類するだけでなく、研究の目的や臨床的な重要性なども踏まえて、一致度を総合的に評価することが重要です。

3人以上の評価者がいる場合

3人以上の評価者がいる場合

Cohenのκ係数は、基本的に2人の評価者(または2つの方法)による判定結果の一致度を評価するための指標です。

3人以上の評価者による一致度を評価したい場合には、Fleissのκ係数という方法が代表的な選択肢として用いられます。

このように、評価者が2人なのか3人以上なのかによって、使用する一致度の指標が異なるため、研究デザインや評価者数に応じて適切な方法を選択することが重要です。

まとめ

まとめ

今回は、Cohenのκ係数について解説しました!

  • Cohenのκ係数は、2人の評価者による判定結果について、偶然の一致を考慮したうえで一致度を評価する指標
  • 単純一致率とは異なり、偶然によって一致する割合を考慮できる点が特徴
  • 3人以上の評価者間の一致度を評価したい場合には、Fleissのκ係数が用いられる

観察者間・検査間の一致度を評価する際は、単純一致率だけでなく、Cohenのκ係数などの指標もあわせて確認することが重要です。

特に、κ係数は「どの程度一致しているか」を評価するための指標であり、データの種類や研究目的に応じて適切な指標を選択しましょう!

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